温泉かわら版 VOL.1 (2007/02/16)
■あなたは「熱いお湯派」それとも「ぬるめのお湯派」?



 
2014年2月10日 いんない余温泉の内湯(左)と露天風呂(右)




  以前、信越の温泉地だったと思うけど地元の利用者と観光客との間で「温泉の温度」について取り上げられていました。
  地元の人は昔から熱いお湯に浸かるのが習慣になっていて「ぬるいお湯だと入った気がしない」と口をそろえて言っていますが、その反面観光客の方はと言うとそのお湯に足を浸けるだけでも間々ならない様子で湯船に浸かるなんてもってのほか。お湯に水道水を足してお湯の温度を下げます。 当然、両者の間でトラブルとなり俄かに巻起こったのがこの「温泉騒動」です。
  実はわたしも以前、同じような経験をした事があります。家族で院内の余温泉に行った時の事でした。平日に行ったので浴場に入った時は誰もいなくて貸切りの状態です。
他に入浴者がいる時は静かにしている子ども達もこの時ばかりは広い湯船で泳ごうと大はしゃぎでお湯に入ろうとしますが、お湯の温度が高くて「アチチチッ」とすぐには中に入れません。水道のホースから水を入れ始め、しばらくして「何とか足を浸けられるな」と思った頃に地元の人らしい年配のおじさんが入って来ました。このおじさん湯船に浸かるなり不機嫌そうな顔でこちらには何も言わず、すぐに水を止めました。常時熱いお湯が流れ込んでいるのであっという間にお湯は元の高温状態に逆戻りです。 子ども達はしょんぼり顔になるし反面湯船のおじさんは目を瞑ってすっかり良い気分の表情。その顔を見てすごく腹立たしくなった事を覚えています。 地元の常連さんの様だし他にも露天風呂がある様なので、ここは何も言わずに外へ出たところ露天風呂の方はお湯の温度も低く中より広くて「結果オーライ」でした。でも、折角休暇を取って家族とのんびりしようとやって来たのにこの一件で気分はすっかり下降線。 「人の振り見て我が振り直せ」と言うことわざがありますが「自分さえ良かったらそれで良いのかねぇ。回りの人の事も考える人間になりなさいよ」と子ども達に言って聞かせました。
  ここまでのわたしの考えは「ぬるめお湯派」の観光客の立場の意見です。では「熱いお湯派」の地元の人の目でみたらどうでしょうか? 朝早く起きて野良仕事で精を出した後、疲れた体を癒すため通いなれた温泉へ。大好きな熱いお湯に浸かり目を瞑ってじっとするひと時が人生の楽しみなんて人も多いのではないでしょうか。その癒しのひと時に呼んでもいない外からの浸入者(正確には侵入者)。 昔から熱いお湯があたりまえの様にそこにあり、それを楽しみにしているのですからお湯の温度を勝手に下げられたとなるといい気分でいられる訳がありません。しかも、毎日のように通っている訳ですから「このお湯は自分達が優先だ」と考えるのは自然かも。
  それぞれの視点、立場で考えるとこうも違ってきます。観光客は「折角遠くから来たのに」、地元の人は「昔からそうなのに」、さて地元行政は地域の優遇か資金が流れ込む観光を重視するのか、この「温泉騒動」が今後どのような展開になっていくのか気になります。





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